糖尿病の日本国内の現状

日本国内の糖尿病患者数は、生活習慣や社会環境の変化によって急速に増加しています。糖尿病はひとたび発症すると完治することは難しく、放置すると網膜症、腎症、神経障害などの合併症を引き起こし、末期には重度の障害を引き起こすことになる場合があります。さらに、糖尿病は脳卒中、虚血性心疾患などの心血管疾患の発症、進展を促進することも知られています。これらの合併症は患者の日常生活を著しく低下させるだけでなく、医療経済的にも大きな負担を社会にあたえ、社会の高齢化にしたがって増大するものと考えられています。
糖尿病の病型は、主に遺伝や事故によってインスリン分泌機能が健常者に比べ劣る1型糖尿病、遺伝的要因と環境要因が関係する2型糖尿病があり、とくに2型では生活習慣が環境因子として関係しています。日本国内の糖尿病の大部分をしめるものは2型糖尿病で、生活習慣などが起因する病型の糖尿病がほとんどです。
この疾患の対策としては、予防・早期発見・合併症の予防が重要です。

糖尿病発症の予防

日本国内の糖尿病患者は平成9年度に行われた厚生省「糖尿病実態調査」によれば、糖尿病が強く疑われる人は690万人、可能性を否定できない人を含めると1,370万人と推計されています。1980年~90年代の疫学研究によれば2型糖尿病の発症は40才~65才の一般住民1,000人、年あたり6〜8人と報告されています。軽症の耐糖能異常であっても累積死亡率は健常者に比較して2倍以上という統計になる。

糖尿病検診で早期発見の重要性

現時点で日本国内の糖尿病の二次予防(検診)は、老人保健事業による基本健康診査、職域での定期健診、病院・診療所での健診等、様々な機会をもって行われています。糖尿病対策の二次予防の目標は、糖尿病検診の受診率の向上、検診後の保健指導の徹底が重要です。

糖尿病の合併症について

糖尿病は、進行すると網膜症、腎症、神経障害などの合併症を引き起こし、また、脳卒中、虚血性心疾患などの心血管疾患の発症、進展を促進します。これらの合併症は患者の日常生活を著しく低下させる重大な問題と考えられています。1998年に行われた日本透析医学会の調査によると、1998年の1年間で新規に透析導入となった患者のうち、35.7%は糖尿病性腎症が原因で、1983年の2倍以上に増加しています。また、糖尿病性網膜症により年に約3000人が視覚障害となっている(1988厚生省「視覚障害の疾病調査研究」より)。

生活習慣改善による発症予防

日本人を対象とした経年的疫学研究による糖尿病の発症危険因子は、1.加齢、2.家族歴、3.肥満、4.運動不足、5.血糖値の上昇で、これ以外にも高血圧や高脂血症も独立した危険因子であるとされています。予防のための危険因子の回避としては、肥満、食事内容、運動不足の改善があげられます。

糖尿病危険因子の回避
・成人の肥満者(BMI≧25.0)の減少
目標値:20~60歳代男性15%以下、40~60歳代女性20%以下
基準値:20~60歳代男性24.3%、40~60歳代女性25.2%(平成9年国民栄養調査)
・日常生活における歩数の増加
目標値:男性9,200 歩、女性8,300 歩
注)1日平均歩数で1,000 歩、歩く時間で10分、歩行距離で600~700m程度の増加に相当
基準値:男性8,202歩、女性7,282歩(平成9年国民栄養調査)
過食や脂肪の過剰摂取を控え、量・質とバランスのとれた食事をとることが重要